第1編 会社分割の法律実務
第3 会社分割の法律上の規制
1 会社法
(3) 吸収分割手続
| (イ) |
吸収分割契約
吸収分割をするためには、当事会社において、一定の事項(会社法758条)を定めた吸収分割契約を締結する必要があります(会社法757条)。 なお、会社法は、吸収分割契約書の作成を要求していませんが、商業登記の関係上、吸収分割契約書の作成は必要となります。 吸収分割契約で定めるべき事項は、下記(a) から(f) になります(会社法758条)。
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| (ロ) |
事前開示書類
吸収分割をするためには、当事会社は、一定の事項を記載した書面または電磁的記録(事前開示書類等)を本店に備え置く必要があります(会社法782条、794条)。 当事会社の株主、新株予約権者、債権者は、それぞれの事前開示書類等の閲覧、謄本・抄本の交付等を請求することができます(会社法782条3項、794条3項)。 事前開示書類は、下記(a) から(e)のいずれか早い日から6か月間、備え置かなければなりません(下記(c) 及び(e) は、分割会社の場合のみに適用されます)。
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| (ハ) |
株主総会の承認
吸収分割をするためには、当事会社は、その効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収分割の承認を受けなければなりません(会社法783条1項、795条1項)。 株主総会の決議は、特別決議によらなければなりませんが(会社法309条2項12号)、一定の場合(承継会社となる会社より受け取る対価が譲渡制限付株式等である場合等)には、特殊決議、種類株主総会の承認、総株主全員の同意が必要となります(会社法322条1項、323条、324条1項、795条4項)。 承継会社において、取締役は、分割会社から承継する債務額が承継する資産額を超える場合、及び、承継会社となる会社が分割会社となる会社の株主に対して交付する金銭等(承継会社の株式等は除く)の帳簿価額が、承継会社となる会社が承継する資産から債務を控除した額を超える場合には、その旨を株主総会において説明しなければなりません(会社法795条1項、2項)。 さらに、分割会社から承継する資産の中に、承継会社の株式が存する場合には、取締役は、当該株式に関する事項についても、株主総会において説明しなければなりません(会社法795条3項)。 |
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| (ニ) |
簡易分割、略式分割
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| (ホ) |
株式買取請求権等
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| (へ) |
債権者保護手続
吸収分割に際して、債権者に不利益を与えるおそれがある一定の場合には、当該債権者は、吸収分割に対して異議を述べることができます。 分割会社となる会社の債権者は、下記(a)及び(b)の場合に吸収分割に対して異議を述べることができます。
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| (ト) |
新株予約権証券提出手続と割当て及び登録質権者等に対する手続
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| (チ) |
吸収分割の効力
吸収分割の効力は、吸収分割契約において吸収分割の効力発生日と定められた日に、その効力が生じます(会社法758条7号)。 吸収分割の効力発生日を変更する場合には、変更前の効力発生日前日までに変更後の効力発生日を広告する必要があります(会社法790条)。 吸収分割の効力発生日に、承継会社となる会社は、分割会社となる会社の権利義務を承継し(会社法759条1項)、分割会社となる会社の株主等は、吸収分割による対価を取得します(会社法759条4項)。 |
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| (リ) |
事後整備書類
分割会社と承継会社は、共同して、吸収分割の効力発生後遅滞なく、下記(a) から(f) の事項を記載した書面等を作成する必要があります(事後開示書類。会社法791条1項2号、会社法規則190条)。
当事会社の株主、債権者その他の利害関係人は、これらの事後開示書類等の閲覧、謄写等を請求することができます(会社法791条3項、801条4項、801条5項)。 |
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| (ヌ) |
登記
吸収分割をした場合には、その効力発生日から2週間以内に、分割会社及び承継会社は、それぞれの本店の所在地において、変更の登記をしなければなりません(会社法923条)。 そして、上記登記は、同一の法局において同時に申請する必要があります(商業登記法87条2項)。 |
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| (ル) |
分割無効の訴え
吸収分割の無効は、各々の効力発生日から6か月以内に、訴えをもって主張することができます(会社法828条1項9号)。 同訴えを提起することができる者は、当事会社の株主、取締役、吸収分割を承認しなかった債権者等になります(会社法828条2項9号)。一方、同訴えの相手方となる者は、当事会社の双方となります(会社法834条7号)。 吸収分割の無効を主張するためには、無効事由が必要となります。 この無効事由について、会社法は一切規定していませんが、吸収分割契約の内容が違法である場合、総会決議に瑕疵がある場合、債権者保護手続が実施されていない場合等が無効事由に当たると考えられています。 吸収分割の無効判決の効力は、第三者にも及び(対世効。会社法838条)、将来に向かってその効力が生じます(将来効。会社法839条)。すなわち、当該無効判決前になされた吸収分割に関する行為は有効であるが、当該無効判決後に将来に向かってその効力を失うことになります。 |